大地のゲーム

大地のゲーム

あの、KinKiの二人が主演だった“未満都市”だっけか?あの世界を思い出しました。大地震後に衛生面などの理由で閉鎖され、無法地帯となった大学校舎に取り付かれたように暮らす主人公たち。りっちゃんの作品にしては、また違う方向で浮世離れした気がする。映画っぽいというか。しかしこの会話のぎこちなさは、何作書いても直らんねえ。りっちゃんは芥川賞作家だから、純文の雰囲気を守っているのだろうか…?

舟を編む

舟を編む

………はーっ。感動した。大傑作だった。しをんたん、今まで未読でごめんね!図書館でごめんね!待たずに買えば良かったと悔やむほどの良書でした。
しをんたん自身が、本当に丁寧に単語や比喩を選んで書いているのが伝わってくるので(だからこそのエッセイのぶっ飛びぶりが生きるのだよ!)、そんなひとが向き合った“言葉”というテーマ、真摯すぎて熱情溢れすぎててもうどうしようというぐらいにのめり込んでしまった。
ほんと、一生をかけるほどの一大事業なのですね、辞書作り。私は、無人島に追いやられることになったら広辞苑だけは(じいちゃんの形見!)絶対持っていくと決めているぐらい、広辞苑以外の辞書はなかなか開かないのですが、個性がそれぞれあって、面白いんですよね辞書の世界って。一時期有名になった新明解は、確かにより強い個性が感じられて、読み物として楽しめる。ぷふっと笑っちゃうこともあるぐらい。しをんたん、次はどんなディープな世界に潜っていくのかな?新作楽しみー!
伝えたいことは些末なことでも面倒くさがったり恥ずかしがったりしないで、省くことなく言葉にして伝える、というのは私の、HAKODATE生活を始めてからの私の目標のひとつなのだけど、同じようなことで悩んで、それでも言葉の持つ力を信じて邁進する馬締たちの姿に、勇気付けられた思い。私は間違ってないし、間違わない。うん。(姿勢だけは。勿論、言葉のチョイスも間違わないようにしたいのですが!)

あ、注目すべき、この一文。↓
『テレビも持たず、さしたる趣味もない馬締は、心を鎮める方法を読書以外に知らなかった。』
読書を“趣味”なんて軽んじた言い方できませーん!と常日頃豪語してるしをんたんの主張が出たよ笑。