サンカーラ―この世の断片をたぐり寄せて

サンカーラ―この世の断片をたぐり寄せて

ランディさんは、いろんな“声”が聞こえてしまうひと。恨みや嘆きや憤り、そんな絶望の声ばかりが溢れていたであろうここ数年は、想像できないくらいに辛かっただろうな。でも、そんな外的な声を受け止めた上で、自らの内なる声も一語も聞き逃さないよう、常に自分自身と向き合おうとする姿勢に、心を揺さぶられた。兄の餓死というすさまじい体験までも、生き方を変えるきっかけとなった“神の恩恵”と言ってのけてしまう。過去と対峙できずに、忘れて笑うことを選ぶほうが幸せかもしれなくて、楽をしたいわけじゃないけど、私だってそうやって生きて、うまく生きながらえたっていう部分もあるけれど、でも、ランディさんの強さには正直憧れる。
迷っても惑ってもいいから、逃げないようにしよう、と。蓋をして終わらせるのは、いけないこと。いや、いけないことではないのかもしれないけど、自分が弱くなる方は選んじゃだめなんだよね。そう、気づかせてもらいました。