神様が殺してくれる

神様が殺してくれる

美しい森ミステリィ。舞台がフランスゆえ、というのがでかいかも。最終的に日本に移ってくるので、え?え?とちょっと浮き足立ってたんだけど、特に既作のシリーズと繋がる様子もなく。う、うん…。とりあえず、このオチは森作品らしくて私はとても好きだった。清涼感。


冬の旅

冬の旅

「私は別様に生きえたのに、このようにしか生きえないのは何故であるのか」
(略)
おれは、いまのおれ以外にはなれへんかった。それは運命とか宿命とかいうことか?

最終章にすべてが書かれています。とにかくその、抗いがたい宿命とかいうものの凄まじい力を感じる。「運命だったんだなあ」て振り替えるのは、いつだってそりゃほとぼり冷めてからの後付け感がで大きいのかもしれないし、そうゆうの信じない!いつだって自分で切り開いた道!って否定するひとがいるのも分かるんだけども、もう、一度コールタールの川のようなところに足をとられてそこから逃れられないことってあるよな、と。転落したら、もう一直線というか。その転落のエネルギーが暴力的なほどの、小説でした。濃密。
ええと、緒方が白鳥と最終的にまた絡むことになるのかな?と思ってたのに、分かれたっきりで(あ、精神的には切っても切れない関係だったけど)、ちょっと白鳥サイドの詳細描写に違和感があったけれど…まあ、実際に再会してしまったらツクリモノ度が増して失敗だったよね多分。