ミノタウロス

ミノタウロス

第29回(2008年) 吉川英治文学新人賞受賞 悪の中の最悪の悪が、生き残る! ロシア革命 時期、無政府状態ウクライナ平原を駆け抜 ける3人の若者たちがいた。時に機関銃つき 馬車、時に飛行機を操って、当たるを幸い歯 向かう敵をなぎ倒す!

すんげーーーぇの読んだ。これほんとに日本人が書いたの?この世界観の完成度、もんのすごい。圧倒されました。
海外にとんと興味のない私ですので、政治背景とか気にしない(気にしたら負け!)で、がーっと一気読み。もともとファンタジーだと思って手に取ったので、結果的に、自分の知らない遠い世界の話としてのファンタジーを豊かに読めたのだな、と自分で自分を誉めてあげたいです、て、何の話。
描写は一人称なのだけど、淡々として低温。レイプしたり殴ったり盗んだり撃ったり、狼藉の数々の描写はほんとに生々しいです、かつ、派手です。なのに終止淡々としているので、振り返ってはじめて、残酷さにすぅーっと背筋が寒くなるような。
で、あの衝撃のラスト。あの、唐突な視点の転換。いやー圧倒された。最後の最後まで、温度というかテンションが一定なのですよ。よくまあこんなの書けるな!怖いわ!
で、この大作、最初に言ったように、私は海外にほとんど興味がなく、最近ガイブンの面白さには目覚めたものの、日本人が海外を舞台にして書く小説とは相性が悪いので、あらすじ予め読んでたら絶対手にはとらなかっただろうなあと思うのです。敬愛するトヨザキ社長が絶賛してるからという理由で、あらすじチェックする間もなく読み初めて、結果、「あれ?想像と違う…」ともやもやしたのも数分で、そっこーで夢中。こんな体験、はじめて。あー、面白かった!読書ってほんとに底も天井も無いなあ…