マスカレード・ホテル

マスカレード・ホテル

ホテリエ(今時ホテルマンて言い方はしないんじゃないかなあ…)のお仕事小説としても、興味深く読めました。都会の大きなホテルほど、変わったお客様が来るものだよねえ。その一件一件の対処法に学ぶべき面もあり、主人公・山岸尚美の接客哲学に頭が下がる思いもあり、反面、そんな上手く行くわけねえだろ(実際無理難題を押し付けてくる客ってそもそも常識はずれだから真摯な対応したってのれんに腕押しですよ…)って唾棄したくなったり、あまりの隙の無いクールビューティーっぷりが煙たく感じたりもして。一緒に働いたら疲れそう…笑。でも最終的に、やっぱ素敵だホテルって、て、そこに行きつく私。
肝心の事件の方は、まあそうか、と。伏線がしっかり引かれてたし、納得のいく動機もあったし、解決してめでたしめでたし感もあったし、さすが東野圭吾、読ませる男。でもね私、何回も言ってごめんなさいだけど、氏の書く女性に好感持てたこと一回も無いや。むしろ男性陣も。この、温度の低ぅい書き方って、きっと作風なんだろうしそれが成功してる部分もあるのだろうけど、私は、作者の愛情(愛でなくて憎の方であっても)が存分に伝わってくる書かれ方の登場人物の方が断然生き生きしてて面白いと思う派。