くまちゃん

くまちゃん


白状します。ある時期から王道の恋愛小説は回避して生きていました。抉られるであろう傷があるからです。それが角田作品、加えて「フラれ小説」と題してあるものなら尚更です。
魔がさしたというか、まあちょっと思うところがあって、もう傷でもなんでもなかろうよ、と道が開けた感があったので、いざ!と頁を開いたらば、見事に抉られました。ふぅ。でも、抉られたあとに最終章でしっかりマキロンで消毒して包帯巻いてもらって「おだいじにね」と優しく送り出してもらえたような爽快感も。
たぶん、角田さんにしては陳腐というか、使いふるされたような言葉だったけど、その近さがプラスに働いたんかなあ。どきゅんと響いて、あー、私、がんばります、と素直に思えた。
ひとを好きになる、…じゃないな、好きでいつづけること、という私の機能は欠陥だらけの自覚は、こんな小説一冊だけでは覆らないけど(失礼)、欠陥品にだって努力するって選択肢はあるかな、と。思ったり、思わなかったり……(おや、恥ずかしくなったようです)
とにかくっ!角田作品とはもう一生離れられないようです、私。