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- 作者: 津村記久子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/02
- メディア: 単行本
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表題作はもう退社したあとの話だから、それよかもう一篇の「職場の作法」のが面白く読めたなあ。
こんなにすんなり小説内の“私”にリンク出来ちゃう作風てほんと津村さんのぐらいしか思い付かない。こうゆう会社は実在して、浄之内さんとか間宮さんとかも実在して、津村さんが見学して忠実に描写してるんじゃないかっていう、圧倒的なリアリティ。どの描写も、ツクリモノの違和感がないんだよ。
今回もひそかに励まされたのだった。明日もお仕事がんばりますよ。
年配の社員が、この会社の女子社員はみんな耳が悪いんじゃないかと愚痴ってたことを思い出す。それは間違っている。あの、だとか、この書類さ、などと自分を呼びつける相手には反応しないだけだ。声さえ出せば相手が振り向くと思い込んでいる連中には。
人間には、他人が寂しいことに気付かなければいけない義務はない。それがたとえ、上司と部下であってもだ。私が浄之内さんに気を遣うのは、浄之内さんが私の面倒をよく見てくれたからだ。