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SOSの猿 (中公文庫)

あんなに苦手だった伊坂作品なのに、心から面白いと思えるようになりました。しかも、今や好きな作家と言ってしまってもいいかもしれない！です！
小説内で哲学が披露されるとき、“広く世間に浸透させたがる臭” のする過剰な自信とか、“別に誰にどう思われようと関係ありませーん臭”のする読者無視の厚顔っぷりがまさに鼻につく場合が時々あるわけですけど、伊坂氏のは、押し付けがましさもなく、逆に言いっぱなしで逃げてる風でもなく、かと言って「僕はこう思うんだけど君はどう思う？」的な問いかけてくる様子でもなく、なんと言っていいのか、本当になんと言っていいのか、とても自然に受け入れることが出来て、「あ、私もそう思ってた！」って嬉しくなることがよくある。ただそこにある、というたたずまいが受け入れやすくて、心地よいのかなあ。なんか私の性格に、合っているような気がする。
好きな場面をいっぱい羅列したいところだけど、やめておこう。読み返しては一人でうんうんと頷いておきます。
すべての物事には原因があって、何もかもがどこかで繋がっている、かもしれない。あなただけが悪いわけじゃなくて、みんなそれぞれ、独りじゃない。前向きな責任転嫁も、自分を救うためには必要なんだよね。