「“その人の形”に空いた穴が心の中にある」
だから厄介なんだよなあ。その形は、他のひとでも、もちろん仕事でも埋まらない。喪失を仕事で補おうとしているヨリさんが、ひたすら痛々しい五巻。

真琴がいい女過ぎます!!“呪い”から解放されて、素敵な彼氏ができるよう祈っているよ!!(涙)


紙の月

紙の月

うーわー……角田さんまたすごいの書いたなあ!ぞっくぞくしたわ。
地方の銀行に勤める主婦が、一億円を横領。その背景が少しずつ明らかになっていくのだけど、きっかけの場面が、とにかくいちばん恐ろしかった(思い出してもぞわっとする)。一度きりのつもりだった、すぐに返すつもりだった、返せると信じていた、抜け出せると信じていた。でも、一線を越えてしまったとき、それってきっと、振り返ったときに道のりの起点が見えなくなるほど遠くへ来てしまったことに気付いたとき、人間ってもう進むことしか選べなくなるんだろうね。戻る選択肢がないどころか、止めるという選択肢までもなくなって、理由も目的も見えなくなってしまう。恐らくは、罪悪感までも。
本当に欲しいものは大抵、お金で買えないものばかり。なのに、お金を払えばいつかは手に入るのだと、もしくは払い続けていればずっと自分のものだと、なぜか錯覚してしまう怖さ。その地獄、女の身だからなのか、すぐそこに、覗きこめるほど近くにあることが、私には分かる。そして、その地獄に決して落ちないという自信は、私にはない。