THE BACK HORN/THE BACK HORN

THE BACK HORN

THE BACK HORN

聴いてます。黙々と。


聴きながらいろいろいろいろ考えてて思ったのは、おそらく、バクホンは「世界は哀しい、そんな世界に生きている俺達だって哀しい」というのを絶対的な前提として、その世界を暴いていくバンドだった。哀しいどころか、醜いし、絶望で埋め尽くされていることまでも暴いては、「これが世界の本当の姿なんだよ!目ぇ開けてしっかり見とけよ!!」とあたし達に容赦なく、容赦ないがゆえに毅然とした態度で突きつけていた。そんな中でも、希望だってほんのちょっとは残されてることも教えてくれて、けどそれを掴み取るには血反吐を吐くような苦労をしなくてはいけないのだ、と、とにかく甘ったれた人間を誰一人として認めないような姿勢だった。そうして結局、彼らは、世界を暴きつくしてしまったんだ。結果として、「世界は哀しい」という前提は覆されることはなかったけれど、「哀しいけれど、哀しいからこそ、美しい」ことを発見したんじゃないだろうか。自ら暴いた醜悪な世界の本質から目をそらしたわけではないし、染み付いた哀しみや儚さは消えはしないけれども、そこから新しい一歩を踏み出す決意をしたんじゃないか。だから、“僕たちは笑う 生きてる悲しみを 拭い去るように祝福するように”(「枝」より)と、彼らは歌う。哀しみばかりに浸ってはいたくないけれど、携えて行かねばならない感傷なのだ、と。

彼らが提示した“裸の”世界は、あまりに衝撃的で、彼らの音を聴いてしまったら、彼らの歌い叫ぶ姿を見てしまってから、ありとあらゆる綺麗事は、吐き気がするほど醜いことに気がついてしまったのだ。それと同時に、泥まみれになろうとぼろぼろに傷つこうと、がむしゃらに進む生命力が人間には溢れているのだ、ということも知った。
“今走り出す 何処までも新たな旅路をゆく 決して振り返ることなく この限りない情熱で果て無き日々を越える ずっと探し続けてゆく”
シンプルすぎる言葉で、走り続けてゆくことを宣言した四人に、あたしもついていきたい、と思うのだ。